夏の花 - 瀧川ありさ
海の匂いがする 路面電車に乗り
隣に座る君は 髪をほどいてた
海に行こうなんて
放課後下駄箱で
急に言い出した訳を
ずっと考えてた
今年の夏、僕らはどんな風に変わってしまうかな
駅を降りて 改札を抜け
君が走り出す
打ち上げ花火があがる
僕ら一つ大人になる
あどけないその笑顔は
そのまま見させてよ
一瞬で消える花火
一瞬で変わるその横顔
焼き付けてる
周りは知った顔で言う
僕がどうするべきか
僕の道を選ぶのは 他の誰でもない
防波堤で一人きり 水平線を眺めてたら
自転車ベル 振り向くと君が
投げてきた缶ジュース
打ち上げ花火があがる この心も弾ける
花が咲いた瞳から 涙滲んでた
とっさに手を握ってた
夏の魔法解けないでよ
ずっとそばにいて
君が笑っていれば
なにも怖くなかったはずなのに
君の手を引き立ち止まる
打ち上げ花火が終わる
僕ら一つ大人になる
黙って君は歩き出す
さよならしたくない
そんな事考えてたら
君がまた顔を覗き込んで
微笑むんだ
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