手紙-田﨑あさひ

渡せなかった 君への手紙

クローゼットの奥 見つけた

心の奥が 痛む理由は

まだ君が消えないから

君を見送るホームで

うまく目も見れなくって

鳴り響くベルが さよならを告げた

「大好きだよ」 言えないまま

遠ざかってゆく列車が 見えなくなるまで

手を振ったよ

いつも二人 歩いた帰り道

おんなじ景色が 涙でにじんだ

隣の席で 居眠りしてた

君の前髪 風に揺れる

そんな些細な 君のすべてを

この胸が覚えてるの

小さな私の頭に

そっと手のひらを乗せて

「元気でね」と言った 君は泣いてたの?

「大好きだよ」 綴った手紙

長い間 どこかへ隠してた気持ち

今 溢れる

言えなかった 素直なこの気持ち

涙で流れて インクがにじんだ

「大好きだよ」 言えないまま

終わった恋は 大事な想い出にしなきゃ

そう ゆっくり

いつか君が この町戻ったら

いつもの笑顔で 「おかえり」を言うよ

君への手紙は 心にしまって

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